事例内容

基幹システムの更改を契機にホテルの主要業務プロセスを可視化、グループ全体の業務改革と標準化に挑戦

リーガロイヤルホテルグループでは、業務プロセスを可視化することで業務改革に取り組んでいる。取り組みの経緯とねらいについて話を伺った。

 

株式会社ロイヤルホテルリーガロイヤルホテル

■所在地: 大阪市北区中之島5丁目3番68号
■設立: 1932年2月
■従業員数: 1,374名
■概要:  リーガロイヤルホテルの前身「新大阪ホテル」が誕生したのは、1935年(昭和10年)。大阪政財界の「賓客のための近代的ホテルを大阪に」という要望から生まれた。その後、1958年(昭和33年)「大阪グランドホテル(リーガグランドホテル)」、1969年(昭和44年)「京都グランドホテル(現リーガロイヤルホテル京都)」など数々のグループホテルを開業。さらには、1990年(平成2年)、名称を新たに「リーガロイヤルホテルグループ」とし、東京、広島、小倉(福岡)、新居浜(愛媛)などにネットワークを拡大した。開業以来、国賓・皇室をはじめ国内外の顧客を迎えるホテルとして、感動と満足の追求を主軸としたホテル経営を実践。2015年の創業80周年を迎えるにあたり、リーガロイヤルホテル(大阪)をはじめ各グループホテルの改装などに着手し、新しく生まれ変わろうとしている。

リーガロイヤルホテル(大阪)の外観(写真提供:株式会社ロイヤルホテル)

リーガロイヤルホテル(大阪)の外観(写真提供:株式会社ロイヤルホテル)

 

もくじ
  1. 業務改革をめざし、「宿泊」「宴会」「料飲」「会計」など主要業務を可視化
  2. 内部統制への取り組みが業務可視化のヒントに
  3. 業務の流れと手順を業務フローと業務記述書に落とし込み各現場へ配付
  4. リーガロイヤルホテルグループスタンダードを「業務手順マニュアル」として確立
  5. クラウド型のホテル向けパッケージシステムを採用
  6. 作業ツールや手順が明確なので、安心して作業を依頼できると判断
  7. リーガロイヤルホテルグループスタンダードをグループ全体に展開

 

業務改革をめざし、「宿泊」「宴会」「料飲」「会計」など主要業務を可視化

– SOX+を利用して業務の可視化したということですが、対象となった業務の種類を教えてください。

「可視化の目的は、『業務改革』 です」(株式会社ロイヤルホテル 経営戦略部 課長代理 渡田 翼氏)

「可視化の目的は、『業務改革』
です」(株式会社ロイヤルホテル
経営戦略部 課長代理 渡田 翼氏)

リーガロイヤルホテルグループでは、グループの旗艦であるリーガロイヤルホテル(大阪)の主要業務である宿泊、宴会、料飲の営業系業務とこれらの業務に共通する会計などの管理業務を可視化しました。

 

– 業務を可視化した目的を教えてください。

可視化の目的は、一言で言えば「業務改革」です。今回、基幹システムの更改を契機に新システムに合わせた業務内容の見直しへと取り組むことになりましたが、全体の業務内容を把握することが難しく、どこを、どう見直せばいいのかわからない状況でした。

 

– これまで、そのような状況で業務に支障はなかったのでしょうか。

各現場では、現場ごとのマニュアルにより、常に業務の最適化やノウハウを蓄積してきました。そのため、業務が可視化されていなくても業務に支障を来すようなことはありません。

しかし、リーガロイヤルホテルグループ全体で業務を改革するとなると話は別です。たとえば、個別の業務やホテル単位で見たときに最適化されていることでも、より広い視野で捉えたときにさらなる改善の余地があることもあります。同じような作業がバラバラに行われていて、それを整理することでさらなる効率化を図ることもできます。

また、効率化や最適化をめざして業務を改善していく中で、ある業務の改善がほかの業務へどのように影響するのか、影響する範囲はどのくらいなのかを知っておく必要もあります。事前に把握しておかなければ、ある業務のボトルネックが解消されたとしても、別の業務のボトルネックを生み出す要因となってしまうこともあるからです。

つまり、業務が可視化されていない状態で業務の見直しに取り組んでも、共通認識がないまま議論をすることになり、水掛け論に終わってしまいかねません。そのため、これまで各現場や個人で行われてきた業務の最適化を一元的に管理できるよう可視化し、継続的に評価・改善・共有するための仕組み、すなわち改革を実現しようと考えました。

●可視化画面例

●可視化画面例

 

内部統制への取り組みが業務可視化のヒントに

– なぜ「業務の可視化」という手法を活用しようと考えたのでしょうか。

「業務の可視化」を活用しようと考えたのには、次の3つの背景があります。

人材育成方法の変化
これまでは、現場の考え方や手法を尊重してOJT(On-the-Job Training)を中心に人材を育ててきました。しかし、世の中の雇用の流動化が進む中、OJTのように時間と手間のかかる方法だけでは通用しなくなってきました。そのため、若手の人材をどう育てていくか重要な課題となっており、標準化された手順書のようなものが必要だと考えました。

標準化の必要性
標準化された手順書を作成するためには、そもそも手順を標準化しなければなりません。また、マンツーマン型のOJTだと、教育担当者が替わった場合に内容のムラが発生しやすく、ホテルの歴史や地域性によってバラツキも発生してしまいます。まずは、リーガロイヤルホテルグループクオリティを確立し、その上に、地域性やホテルごとの付加価値を確立するために、業務の可視化は有効だと考えました。

内部統制への取り組み
数年前より内部統制への取り組みを開始しましたが、この業務プロセスに係る内部統制で管理している「業務フロー図」や「業務記述書」は、業務改革に業務の可視化を適用するヒントになりました。これらの内部統制ドキュメントは既にSOX+で作成されていたこともあり、この資産を活用すれば、業務の可視化を効果的に実現できるのではないかと考えました。

 

業務の流れと手順を業務フローと業務記述書に落とし込み各現場へ配付

– 業務の可視化とは、実際にどのような作業を行ったのですか。

業務フローと業務記述書を作成し、既存の手順書や帳票などをリンク(紐付け)して、現場の担当者が業務手順マニュアルとして利用できるようにしました。

実際の作業手順は次の通りです。

(1) 業務の棚卸し
業務を整理し、業務フロー作図の対象となる業務を洗い出しました。

(2) テストパイロットの実施・ルール定義
業務フローに必要な情報を確認し、パイロット版を作成することでどのような成果物を作成するのか意識合わせを行いました。フロー作図における使用図形や記述法、帳票の仕様を定義し、可視化の標準ルールを策定しました。

(3) 現行業務フローの作成
各業務の担当責任者にヒアリングをしてもらい、業務の流れと手順を業務フローと業務記述書に落とし込んでもらいました。

(4) プレビュー・ブラッシュアップ
業務フローと業務記述書を社内でレビューし、追加修正の上、ブラッシュアップしてもらいました。

(5) 業務フローと現行マニュアルの紐付け
完成したフローチャートに関係する既存の手順書や帳票などをリンク(紐付け)して、「業務手順マニュアル」として整備しました。

(6) 業務手順マニュアルの公開
業務手順マニュアル一式を印刷し、各現場の担当責任者に配付しました。

 

– 業務手順マニュアルは、どのように活用しているのでしょうか。

各現場の担当責任者が必要なページをコピーして配付したり、何か不明点があったときに閲覧できるようにしています。また、社内イントラネットで閲覧できるようにもしています。

●宿泊メニュー画面(サンプル)

●宿泊メニュー画面(サンプル)

 

リーガロイヤルホテルグループスタンダードを「業務手順マニュアル」として確立

– 業務を可視化したことで、どのような効果がありましたか。

「業務手順マニュアル」という、だれでも見られる形で業務の標準化を図ることができました。システムの更改に合わせ、現時点で最新の内容が反映されているので、まさに「リーガロイヤルホテルグループスタンダード」と言ってもいい内容になります。

このような標準があることで、不明なことがあればすぐに確認できますので、悪い意味での属人性やローカルルール的なものを排除し、業務品質の底上げを図る環境が整いました。教育用の資料としても有用ですし、作業チェックリストのようにも使えます。

また、部署が異動になったときなどでも、新しい業務をスピーディかつ客観的に理解できるようになり、業務のムラやブレを最小限に抑えることもできるようになりました。たとえば、これまでだと管理者が部署を異動すると、新しい業務を理解するまでに時間がかかるケースもありましたが、業務手順マニュアルがあることで、時間をかけることなく的確な業務の指示や評価ができるようになりました。

一方、業務改革という視点で見ると、議論をする際の基軸とも言うべき共通認識を持てるようになったので、あいまいさや個人的な偏見などを排除し、冷静な議論ができるようになったことが大きな成果です。これは、業務改革を継続していく上でとても重要なポイントだと捉えています。

 

– 予想外の成果や効果などはありましたでしょうか。

若い社員の中には、先輩から口頭で教わるよりも「業務手順マニュアル」を読み込んだ方がいい、と考える社員も少なくないようです。

その逆に、ベテラン社員にはあまり感動がなかったようです。要は、自分たちがこれまで行動してきたことや教えてきたことが書いてあるだけで、特に目新しいことは書いていないということらしいのです。しかし、これまで言葉だけでは上手く伝えられなかったこともフロー図があることで簡単に説明できたり、改善のアイデアを前後で視覚的に比較して見せたりするなど、有効活用してみようと考えているベテラン社員も出てきています。

 

 

クラウド型のホテル向けパッケージシステムを採用

– 「基幹システムの更改を契機に業務を見直した」ということですが、業務を見直してその内容をシステムに反映させたということでしょうか。

いいえ、今回のケースでは、業務を見直してその内容をシステムに反映させたのではなく、システムに合わせて業務を変革しました。

 

– なぜ、業務をシステムに合わせたのでしょうか。

今回リーガロイヤルホテルグループで採用したのはクラウド型のホテル向けパッケージシステムです。しかも、導入コストや運用負荷の増大を招くカスタマイズは極力減らすという方針でしたので、業務をシステムに合わせることになりました。

 

– クラウド型のホテル向けパッケージシステムを選択した理由を教えてください。

ホテル向けのパッケージシステムであれば、必要な機能が網羅されており、開発にかかる手間や時間を最小限に抑え、迅速かつコストを抑えた導入を図ることができます。また、システム自体の運用を専門業者に任せることができ、手間をかけることなく最新のシステムを利用できることから、クラウド型のホテル向けパッケージシステムを採用しました。

システムに過大な投資をするよりも、ファシリティの充実や人材育成へ投資やリソースを集中させることで、お客様のロイヤリティや満足度、そして競争力を高めていきたいと考えています。

 

– システムに業務を合わせることで、リーガロイヤルホテルグループならではのサービスを維持できるのでしょうか。

パッケージに業務を合わせるといっても、あくまでも基本的な業務に関わる部分だけです。宿泊、宴会、料飲といった業務の基本的な流れは、どこのホテルでも同じです。リーガロイヤルホテルグループならではのサービスとは、この基本的なサービスの流れにプラスアルファの付加価値として提供されるものなので、標準化されているシステムであれば基幹システムの機能に左右されるものではないと考えています。

むしろ、システムの更改を意識改革の良い機会だと捉え、最適化されたシステムや機能を最大限に活用した付加価値の高い業務の流れを確立し、それをグループで共有・定着・改善していくために、業務の可視化が不可欠だと考えました。

 

 

作業ツールや手順が明確なので、安心して作業を依頼できると判断

– 可視化作業をサン・プラニング・システムズに依頼した経緯を教えてください。

内部統制ドキュメントを参考に業務手順マニュアルを作成しようと考えました。そのため、とりあえず内部統制ドキュメントを作成しているツール、すなわちSOX+を提供しているサン・プラニング・システムズに、「SOX+で業務手順マニュアルを作ることができるか」、また「作業をサポートしてもらえるか」、問い合わせてみました。

サン・プラニング・システムズでは、過去にホテル業務の業務フロー可視化をした実績もあり、サポートも受けられるという回答だったので、提案を依頼することにしました。

 

– ほかのツールなどは比較検討しましたか。

表計算ソフトを使ってという方法も検討しましたが、iGrafxのフロー作図機能と連動しているSOX+と比べると使い勝手が悪く、手間も時間もかかるのは明白でした。

また、他社の業務可視化コンサルティングも検討したのですが、契約しないと具体的な手法やツールなどは教えてもらえず、実際の作業はサポートしてもらえないケースが多く、二の足を踏まざるを得ませんでした。

 

– サン・プラニング・システムズからの提案を採用した理由を教えてください。

次の5つのポイントが、サン・プラニング・システムズからの提案を採用した主な理由です。

提案内容が明確だった
まずは提案内容がオープンだったこと。作業ツールや手順が明確だったので安心して提案を採用できると考えました。

専門家による作業支援を受けることができる
ツールの提供や使い方のサポートだけでなく、経験豊富な専門家により可視化作業を支援してもらえることは必須でした。

作業手順をパイロット版で確認できる
作業内に関して、パイロットを実施して実際に最終形態の具体イメージを事前に確認してから本番の作業に臨むことができるという点も評価ポイントとなりました。正直なところ、初めての試みだったので、イメージ通りのものができるのか不安もありましたし、パイロット版を見てからさらに要望を反映できる余地があると考えたからです。

作業期間が短くて済む
新システムの稼働スケジュールは決まっており、そのスケジュールに合わせて可視化作業を進めなければいけませんでしたので、決められた作業期間で作業を終えることができるかどうかは絶対要件でした。サン・プラニング・システムズは、当社の要望を汲み取り、プロトタイプを含め3か月という作業スケジュールを提示してくれました。

社内で内容を更新できる
業務手順マニュアルの追加・修正を社内のリソースで対応できることも要件でした。SOX+はすでに社内で利用していたこともあり、とても簡単に使えるので、フロー図などの作成・修正ができることも、サン・プラニング・システムズからの提案を採用した理由の1つです。

 

 

リーガロイヤルホテルグループスタンダードをグループ全体に展開

– 業務の可視化を行う際、苦労したことや反対意見などはありませんでしたか。

業務可視化は経営者の意向でしたので、反対や反発などは特にありませんでした。逆に、現場からは、こういうものがほしかったという声も多く聞かれ、積極的に協力してくれました。

 

– 今後の展開について教えてください。

今回、リーガロイヤルホテル(大阪)への新基幹システムの導入に合わせて業務を可視化しましたが、今後はグループの各ホテルでも基幹システムの更改を予定していますので、それに合わせて業務手順マニュアルも展開して行く予定です。細かな部分は精査しますが、基本はリーガロイヤルホテル(大阪)の業務手順マニュアルをそのまま適用することになります。

また、業務手順マニュアルの内容に関しても、さらに幅広い業務をカバーできればと考えています。

 

– サン・プラニング・システムズへの評価と期待を教えてください。

自分たちの業務には誇りも思い入れもあります。業務を可視化するのにあたり、第三者の視点で客観的にアドバイスをしてもらえたことで、主観的な意見や感情に流されず作業を進めることができました。内容に関しても、浅すぎず、深すぎず、適正な落とし所で、上手くまとめてもらえたと感謝しています。

これからも、リーガロイヤルホテルグループの業務改革は続いて行きますので、これまでと変わらない丁寧な対応を期待しています。

リーガロイヤルホテル(大阪)の皆さま 株式会社サン・プラニング・システムズ  ビジネスソリューション事業部 大阪営業所 BPMチーフコンサルタント 岸 英子(右)

リーガロイヤルホテル(大阪)の皆さま
株式会社サン・プラニング・システムズ
ビジネスソリューション事業部 大阪営業所 BPMチーフコンサルタント 岸 英子(右)

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

* 取材日時 2014年6月
* リーガロイヤルホテルグループのサイト
* 記載の担当部署は、取材時の組織名です。

 

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