事例内容

業務フローと関連書式を有機的に結びつけ、実践的で改善へと直結する業務プロセスの見える化を実施

横浜国立大学 都市イノベーション学府・研究院(以下、都市イノベーション学府・研究院)では、業務の見える化を実現するためのツールとして、iGrafxを利用している。導入の経緯とねらいについて話を伺った。

 

横浜国立大学
横浜国立大学(Yokohama National University)

■所在地: 神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台79番1号
■設立: 1949年
■職員数: 1,012名(2013年5月1日現在)
■概要:  横浜師範学校、横浜高等商業学校、横浜高等工業学校の創設からの流れを汲み、1949年に新制大学として発足。2009年に創立60周年を迎えた。1979年に現在の常盤台キャンパス(神奈川県横浜市保土ヶ谷区)にすべての学部・大学院等を集約し、地域における中核的拠点大学として、広く社会に優れた人材を輩出している(学生数:学部 7,471、大学院:2,561)。

横浜国立大学 都市イノベーション学府・研究院
都市イノベーション学府・研究院(IUI/ Institute of Urban Innovation, Yokohama)

■所在地: 神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台79番1号
■設立: 2011年4月
■教職員数: 60名(2013年5月1日現在)
■概要:  横浜国立大学が設立した「都市」をテーマとする新しい大学院「都市イノベーション学府・研究院(IUI/ Institute of Urban Innovation, Yokohama)」。2012年4月に開設され、建築、芸術、土木工学、国際社会、等を専門とする大学院生が各々の探求を深めながら、最終的に「都市」という領域で協働する日本で初めての大学院である。
建築学・土木工学という都市のハードに関わる分野と、人文・社会科学、国際社会や文化・芸術などソフトに関わる分野の双方で、実務に長けた高度専門家の育成を行っており、双方の分野を横断的に学ぶこともできる多面的な研究環境を提供している。最終的には、都市のイノベーションというテーマに対して多様なアプローチを実行する能力を持ち、グローバルに通用する次世代リーダーの養成をめざしている。

横浜国立大学のキャンパスの様子(写真提供:横浜国立大学)

横浜国立大学のキャンパスの様子(写真提供:横浜国立大学)

 

もくじ
  1. 業務改革が求められる大学経営の現況
  2. 書式の効率管理と業務の属人性排除をめざし、業務の見える化を模索
  3. 業務フローをクリックするだけで、書式を呼び出すことが可能に
  4. 恒常的に業務を改善ができる環境を実現

 

業務改革が求められる大学経営の現況

–iGrafxを利用して、業務の見える化に取り組んだ背景について教えてください。

都市イノベーション学府・研究院(写真提供:横浜国立大学)

都市イノベーション学府・研究院(写真提供:横浜国立大学)

少子化による大学間競争の激化や交付金の削減、法人化による業務改革の必要性など、大学の経営環境は年々厳しさを増しています。そのため、業務のコストダウンや効率化が求められていますが、大学の業務を改革しようとなると容易ではありません。

その要因はいくつか挙げられますが、まず国立大学ならではの事情としては、職員がもともと公務員であるため改革に積極的でないことや、意思決定に時間がかかることがあります。また、大学は1年のサイクルで業務が回っているため、業務を改革するための機会が年に1回しかないことも要因となっています。

 

–現場レベルでは、どのような課題がありますか。

現場レベルの課題もいくつかありますが、自分たちの現況から話をすると、理工学系大学院等事務部では、工学府、環境情報学府、都市イノベーション学府の3大学院と、理工学部という学部の事務を担っています。そのため、業務の負荷は非常に大きいのですが、容易に人員を増やせるわけはなく、むしろ人員は削減の方向にあり、業務改革による負荷の軽減は、ある意味、差し迫った課題でもあります。

また、全般的な業務の課題として挙げられるのは、「作る書類が多いこと」と「担当者の裁量によって業務が実施されていること」です。

図1:事務部における業務一覧例(抜粋)

図1:事務部における業務一覧例(抜粋)

(クリックで拡大)

図1:事務部における業務一覧例(抜粋)

(クリックで拡大)

 

 

 

 

 

 

 

–「作る書類が多い」とは。

大学の教務の仕事は、書類を完成させることがゴールとなっているケースが多く、作成する書類の数と種類が多いという特性があります。しかし、いざ業務を行おうとすると、「書式がどこにあるのかわからない」といったケースや、書式を複数の業務で再利用できるようになっていないので「管理すべき書類の数や種類が膨大」になってしまうと課題があります。

–では、「担当者の裁量によって業務が実施されている」とは。

担当者の裁量で業務が実施されることによって、次のような問題が発生します。

  • 引き継ぎに苦労する
  • 業務のナレッジが蓄積されない
  • 担当者に聞かないと業務がわからない
  • 同じ業務なのに学部ごとに業務手順が異なる

このような現場の課題を解決するのに、業務の可視化が有効だと考えたのが、業務の見える化に取り組んだ背景になります。

 

書式の効率管理と業務の属人性排除をめざし、業務の見える化を模索

–業務を見える化すると、どのように課題が解決されるのでしょうか。

「iGrafxを導入する以前、何度か見える化を試みたのですが、上手くいきませんでした」(片平氏)

「iGrafxを導入する以前、何度か見える化を試みたのですが、上手くいきませんでした」(片平氏)

業務を見える化すれば、おのずと、どの業務で、どの書式を使用しているのかを把握できるようになります。あとは、その書式がどこに保管されているのかを管理すれば済みます。

一方、担当者の裁量で業務が遂行されていることに関しては、まさに見える化されるので、「ナレッジが蓄積されない」、「業務の流れを把握できない」といったことはなくなります。また、業務の重複に関しても、見える化をすれば業務の比較も容易になり、統廃合も進めやすくなります。

結果として、担当者でなくても業務の中でどんな作業を行っているのかを、容易に把握できるようになるのです。

–これまで、このような業務の見える化がなされてこなかったのには、何か理由がありますか。

実は、以前、業務の見える化に取り組んだことがあります。そのときは、HTMLのリンク機能を使って作ってみたのですが、非常に手間のかかる作業で、メンテナンスにかかる手間は、またその何倍も面倒だということで、あきらめました。

また、文書管理ツールを使った方法も、考えてみたことがあります。しかし、文書管理ツールは、書式を管理するのにはいいのですが、業務フローとの連携や、業務フローから呼び出すという設定が難しい、もしくは高価なツールを使用しなければならないので、実現できませんでした。

 

業務フローをクリックするだけで、書式を呼び出すことが可能に

–iGrafxを使って、業務を見える化しようと考えた理由を教えてください。

iGrafxは、フロー図に使用する文書(書式)をリンクし、クリックするだけで簡単に書式や書式が保管されているフォルダを呼び出すことができます。iGrafxを見たとき、これなら見える化が容易にできると直感しました。

使用する書式と業務の手順を一元的に管理できるので、業務の見える化に最適です。しかも、設定ツールも安価で、閲覧だけであればWebブラウザから可能なため、容易に情報共有環境(電子マニュアル)を構築することができる点も大きな魅力でした。

–実際に業務の見える化は、どのように行ったのでしょうか。

今回、入試に関連する約200のフローを分析し、見える化を試みました。通常の業務があり、私たち自身が手を動かすことは難しかったので、サン・プラニング・システムズよりオペレーションを行うエンジニアの方に来てもらい、各業務の内容を担当者にヒアリングしてもらいました。その内容を分析し、フロー図の作成と書式のリンクを設定してもらいました。

図2:業務構造図の全体イメージ

図2:業務構造図の全体イメージ

(クリックで拡大)

図2:業務構造図の全体イメージ

(クリックで拡大)

img_case_yokohama_national_u_11

(クリックで拡大)

 

 

 

 

 

 

–入試に関する業務を選んだ理由はありますか。

入試に関連する業務やその流れは、基本的には大きく変わらないはずです。しかし、実際には私たちが行っている入試関連業務でさえも、3つの部局がバラバラの作業方法で処理をしています。そのため入試関連業務を見える化し、標準テンプレート化できれば、業務の効率化という結果が見えやすく、周りの理解も得やすいと考えました。

–作業には、どのくらいの期間がかかりましたか。

全体で2か月ほどかかりました。

図3:業務フローチャートのサンプル

図3:業務フローチャートのサンプル

(クリックで拡大)

図3:業務フローチャートのサンプル

(クリックで拡大)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恒常的に業務を改善ができる環境を実現

–iGrafxを導入して、どのような成果が出ていますか。

入試業務の見える化を終え、いよいよ実際の現場への適用を検討している段階です。iGrafxを利用することで、これから一過性な業務改善ではなく、恒常的な業務の改善が容易なことがわかりました。また、業務の属人化を防ぎ、標準化を進めることで、業務レベル全体の底上げにもつながると期待しています。

–今後の展開予定があれば教えてください。

今後は、ほかの業務の見える化にも挑戦したいと考えています。将来的には、横浜国立大学の標準テンプレート、引いては全国の国立大学のテンプレートとして、利用されるようなフローを確立できればと考えています。

図4:階層構造イメージ(メニュー化による業務プロセス管理)

図4:階層構造イメージ(メニュー化による業務プロセス管理)

(クリックで拡大)

 

–サン・プラニング・システムズへの評価と期待を教えてください。

サン・プラニング・システムズは、こちらが頭の中で実現したいと考えていることを、具現化する適切な提案をしてくれました。オペレーションの担当者も、とても勉強熱心で、作業が終わる頃には業務のスペシャリスト並の知識を持ち合わせるほどでした。それは、業務の見える化ができれば、だれでも業務を理解できるようなるという1つの証だと捉えています。

今回の業務の見える化の取り組みは、iGrafxとサン・プラニング・システムズの存在なしでは実現できませんでした。今後も、いろいろと相談したり、お願いごとをすることになると思いますので、引き続き、手厚いサポートをお願いします。

横浜国立大学 理工学系大学院等事務部の皆さま サン・プラニング・システムズ  マネージャー 矢澤 洋(右から2番目)  マーケティング担当 市橋 憲茂(右)

横浜国立大学 理工学系大学院等事務部の皆さま
サン・プラニング・システムズ(マネージャー 矢澤 洋(右から2番目)、マーケティング担当 市橋 憲茂(右))

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

* 取材日時 2014年
* 横浜国立大学のWEBサイト、都市イノベーション学府・研究院のWEBサイト
* 記載の担当部署は、取材時の組織名です。

 

本プロジェクトに関連する製品・サービス

製品

サービス