導入事例 RPAツール(UiPath) パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス様

RPA課ではサン・プラニング・システムズに導入支援いただいたUiPathでRPAの内製を行っています

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株式会社ドン・キホーテ、ユニー株式会社、株式会社長崎屋などを傘下に小売事業を主として展開する株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、2017年にRPAに着目しUiPath導入プロジェクトをスタート。以来、同社はUiPathを駆使し、ロボットの製作から管理・運用・保守にいたるまで、すべて内製でRPAに取り組んできました。今回、UiPathの導入からRPA課発足までの背景と効果について、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス ITサポート本部 情報システム本部 基幹システム運用課 兼 RPA課 課責任者 山本 速都氏ほか、RPA課メンバーの方々に詳しく伺いました。


株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス様

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス

  • 本社所在地 :〒153-0042 東京都目黒区青葉台2-19-10
  • 設立 :1980年9月
  • 代表者 :代表取締役社長CEO 吉田 直樹
  • 資本金 :230億800万円(2020年6月30日現在)
  • 従業員数 :13,546名(連結)(2019年6月30日現在)
  • 事業内容 :グループ会社株式保有によるグループ経営企画・管理、子会社の管理業務受託、不動産管理等

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1.総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」、総合スーパー「アピタ」「ピアゴ」などを展開

総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」

総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」

– 御社の会社概要についてご紹介いただけますか。

当社はグループ店舗のコンセプトをコンビニエンス+ディスカウント+アミューズメントとしており、総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」や、総合スーパー「アピタ」「ピアゴ」などを展開しています。さらに、品揃えを絞り込んだ都心小商圏に対応するスモールフォーマット事業、アメリカ、シンガポール、タイなど国外にも出店を拡大している海外リテール事業なども展開しています。

2019年、当社は社名をパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)に変更するなど、第二創業期を迎えました。今後も顧客最優先主義と個店主義を徹底し、国内のみならず海外でも支持いただけるグローバル企業を目指して、第二創業期を力の限り歩んでいく所存です。

2.サン・プラニング・システムズの提案と支援でUiPathを導入

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 山本 速都 氏

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
ITサポート本部 情報システム本部 基幹システム運用課 兼 RPA課 課責任者
山本 速都氏

– 今回、サン・プラニング・システムズには何を依頼しましたか。

2018年1月、RPAによる業務の効率化を目指し、サン・プラニング・システムズの支援のもとにUiPathを導入しました。UiPathの研修や継続的なRPAのコンサルティングなど、サン・プラニング・システムズには現在もRPA全般のアドバイザーとしてご協力いただいています。

– RPAの稼働状況について教えてください。

現在までRPAによる業務数は170以上。各部門からの製作依頼は250を超えています。

3.店舗業務を効率化するRPAなどを展開

– 具体的なRPAによる業務をいくつかご紹介いただけますか。

以下、3つの業務のRPA導入事例をご紹介させていただきます。

 

<店舗業務1 インバウンド決済の確認を自動化>

インバウンドで来日された中国人観光客が、独自の決済アプリで商品を購入されることがあります。その場合、店舗側は決済アプリ用の端末で決済し、さらにPOSレジでも決済を行います。ここで課題となっていたのが、決済情報とPOSレジのレシートの確認作業です。単純作業ではありますが、時間と労力がいるため、店舗スタッフの大きな負担となっていました。そこで、決済情報とPOSレジのレシートを自動的に確認するロボットを導入。ロボットがすべてチェックを行い、数字に間違いがあるものをだけを抽出するようにしました。これにより、店舗スタッフにかかる確認作業の負担は大きく軽減されました。

 

<店舗業務2 分析データ作成の自動化>

店長や各エリアの担当者は、売上の分析データをもとに店舗ごと営業戦略を立てています。売上データは社内システムから抽出できますが、それを分析データに落とし込むのは手間も時間もかかります。店舗業務に追われるなか、例えば「毎週月曜日のこの時間まで分析データの帳票を作成しなければならない」となると、その業務の責任者には大きな負担がかかります。

そこで、売上データをダウンロードしExcelに取り込んで見やすい形式に整え、ExcelとPDFに変換したファイルを店舗に配信するまでを自動化しました。責任者の負担は軽減され、業務の効率化も図ることができました。

 

<労務管理 残業時間のアラート配信システム>

当社は働き方改革を見据え、残業時間の上限を設定して労働時間を遵守する環境づくりに取り組んでいます。ただ、当社に限らずだと思いますが、業務に追われると遵守するのが難しい状況になります。そこで労務管理を行う部署が勤怠管理システムの残業時間をチェックし、上限を超えそうな従業員のデータを抽出しPDF化して部門長に配信する作業を毎日数時間かけて手作業で行っていましたが、この処理をRPAにより自動化しました。これにより担当者の毎日の作業がなくなり、各部門長は部下の残業時間の把握が可能になり、適切な業務分掌を行うために効果を発揮しています。

4.店舗業務の自動化に期待できるRPA

– あらためて、RPA導入の背景をお聞かせいただけますか。

2017年4月、担当役員から、情報システム部にRPAの情報収集の号令がかかったのが始まりでした。当時、RPAを展開しているベンダーは少なかったのですが、いろいろ調べて2社のベンダーにアポイントを取り、話を伺いに足を運びました。

– ベンダーの話を聞いてどんな印象を持ちましたか。

そのときの印象は「複数のシステムを連携させて自動化できる」「今後、リソースの確保が難しくなる中で期待できる技術」でした。情報システム部として店舗運営に関わる業務システムの運用・保守に携わっていましたから、自動化のイメージも想像することができました。また、プログラマーでなくても勉強すれば使いこなすことができるツールという話も伺いました。結論として、現場レベルでの業務の効率化を期待できると考え、早々にRPAの導入に向けたPoC(Proof of Concept)を情報システム部のメンバー数人で実施することにしました。

 

5.3製品のRPAツールを比較・検討

– 他に比較・検討したRPAツールはございましたか。

最初に比較・検討したのは、話を伺った2社のベンダーの製品です。試用ライセンスやマニュアルを一式いただいてPoCを実施しました。情報収集の号令から3カ月が経過し、そろそろ決断を迫られていたところ、サン・プラニング・システムズからUiPathの提案を受けました。サン・プラニング・システムズとはシステム開発・運用・保守支援などで約20年のお付き合いがあったため、決断が差し迫った状況でしたが話を伺うことにしました。

 

6.UiPathの充実した学習環境

– UiPathを選定した決め手はございましたか。

先の2製品にUiPathを加えてPoCを実施し、あらためて比較・検討しました。そして、導入するならUiPathだとすぐに思いました。その理由は以下の通りです。

 

<学習環境が整っている>

当時はまだまだRPAが普及していない状況で情報量が限られており、マニュアルのみでロボットを製作するのは思った以上に手間のかかる作業でした。試作品をつくっても動作せず、試行錯誤を繰り返すこともありました。そうした状況のなか、UiPathに関しては多くの情報があることが分かりました。とくにUiPathが自社で立ち上げている無料のオンライン学習サービス「UiPathアカデミー」は非常に役立ちました。おかげさまで、動作するロボットを苦労せずにつくることができました。

 

<野良ロボットの心配が不要>

更新や修正がなされない管理者不在の野良ロボットを危惧していました。当時は野良ロボットという言葉は浸透していませんでしたが、業務の効率化を目的と考えると、我々としてはつくったロボットを把握し管理することも重要だと捉えていました。

その点、UiPathには自動化の運用と管理の役割を担うOrchestratorというツールがあります。Orchestratorがあれば、全ロボットのプロビジョニング、展開、実行、監視、測定、追跡、セキュリティの確保までが可能。野良ロボットの心配がありませんでした。

– UiPath導入の進捗状況はいかがでしょうか。

2017年10月にUiPath導入プロジェクトがスタートし、同年12月には情報システム部内にRPA課が発足。2018年1月にはUiPathの本格的な運用がスタートしました。

 

7.サン・プラニング・システムズの協力体制を高く評価

– サン・プラニング・システムズの支援については満足されていますか。

最初の試作品はサン・プラニング・システムズにつくっていただきました。各店舗から送信されてくるクーポンの承認で、機械的な対応が可能な部分を自動で行うロボットで、製作方法や運用方法などについて勉強させていただきました。また、人が不在の夜中もずっと動作していたことを目の当たりにして、RPAの効果を実感することができました。現在はシステムの改修で試作品の役目は終えましたが、今でも当社の大きな礎になっています。

さらに、RPA課の発足にあたり、UiPathの研修などにも尽力いただきました。RPA課が自走できているのは、サン・プラニング・システムズの協力体制が寄与している部分も大きいと思っています。

 

8.知識や技術の習得に欠かせないUiPathアカデミー

– RPA課とはどういった役割を担う部門なのでしょうか。

RPAを管理・保守するだけでなく、ロボット自体も内製できる体制にするため発足した部門です。ロボットを自作し運用するスタイルは既定路線で、外注は一切考えていませんでした。

– RPAを内製できる秘訣はございますか。

幸いにもUiPathには無料で学べる「UiPathアカデミー」やネットで参考になる情報が唯一あったRPAツールであったこと、そして近年は豊富な書籍のおかげで知識や技術の習得には困りませんでした。こうした学習環境が秘訣のひとつだと思います。

もうひとつは、担当するスタッフを兼任から専任に切り替えたことです。RPA課発足時はRPA以外に別の業務を兼任するスタッフで占められていたため、どうしてもRPAは後回しになりがちでした。ロボット製作が進まない、知見が溜まらないことから、約1年という時間をかけてRPA専任の体制を整えました。

 

9.RPA説明会などの啓蒙活動を実施

– 社内にRPAを浸透させるための啓蒙活動は行ったのでしょうか。

新しい業務効率化の手段でしたから、時間はかかるだろうと思っていました。まずは、社内のグループウェアを通じてRPAの資料を公開し、RPA化する業務を募集しました。それと平行して本社でRPA説明会を開催しました。そのときは10人前後の方々に足を運んでいただき、それぞれ個別にRPAの説明とRPA化したい業務のヒアリングを行いました。こうした活動やビジネスシーンにおけるRPAの注目度の高まりが相まって、徐々にRPAが浸透し現在の170という業務数につながっています。

– 現在のRPA課の具体的な活動をお聞かせいただけますか。

メインはロボットの製作です。RPA化する業務の依頼を受け、依頼者とRPA課の担当者がミーティングを重ねて、業務内容の精査とロボットの仕様について詰めていきます。その後、製作のスケジュールを組み、動作チェックを経てリリース・展開という運びになります。

リリース・展開したロボットの管理・保守も行います。エラー対応の改修はもちろん、野良ロボットが発生しないように監視・追跡も怠りません。また、役目を終えたロボットについては責任を持って最終的な処理を行います。

 

10.RPA未経験からRPA課の主力メンバーに

– RPA課のメンバーをご紹介いただけますか。

以下、7名がRPA課のメンバーとなります。メンバーを募集するにあたり、課のなかで学習すればいいと思っていましたので、RPAの経験は一切問いませんでした。それよりも、RPAを学ぶ意欲や新しいことに挑戦する気持ちを重視しました。おかげさまで良いチームワークでRPA課を推進できていると自負しています。紹介については、それぞれ本人からお話させていただきます。

 
以下、ITサポート部 情報システム部 RPA課メンバーの方々

 

05matsumoto_sama_009松本 奈津子 氏
もともと情報システム部にいました。RPA課ができると知り、声がかかるのを待っていたのですが一向に声はかからず。半年待ちましたが、しびれを切らして自分から手を挙げてRPA課にきました。「開発経験がなくてもできる」「新しくて楽しそう」がRPA課を希望した理由です。。

04nishiyama_sama_002西山 奈津子 氏
もともと当社の他部門にいました。あるとき、社内公募でRPA課を見つけ「開発経験がなくてもできる」という言葉に惹かれて異動してきました。新しいことに挑戦したかったというのもありますが、実際はかなり気軽な気持ちでした。

06sasaki_sama_001佐々木 文乃 氏
普通の主婦でした。当初はアルバイト採用で、もちろんRPAのことはまったく知りませんでした。RPA課のメンバー方々は優しくて本当に居心地が良く、「ずっとここにいたい」「もっとRPAに関わりたい」と思ってところ、メンバーを増やしたいという話を聞きました。あらためて「もっと頑張りたい」と思い、正社員採用にしていただきました。。

03miyazono_sama_005宮園 萌 氏
プログラミングやRPAを独学で勉強していました。資格も取得しましたが、何しろ独学だったため、SEやプログラマーという職種では「自分が活躍できる場は少ない」と勝手に思っていました。RPAの知識を生かし、もっと成長できるかもしれないと思って入社したのが、この会社のRPA課です。。

07okane_sama_002岡根 淳子 氏
別の会社で営業事務の仕事をしていました。たまたまテレビでRPA女子という言葉を知り、やりたいのは「これだ」と思いました。それで数カ月ほどRPAの勉強をして、RPAの仕事を探しているときにRPA課の募集を見て応募しました。。

02sekimoto_sama_007関本 康二 氏
IT系専門学校での教員経験を生かし、IT系企業に転職しようと思ったのですが、実務経験がなかったため、いきなりSEやプログラマーは難しいと考えていました。そんなとき、見つけたのがRPA課の募集です。RPAに携わりつつ視野を広げられればと思い、入社させていただきました。

 

11.今後の展開

– 最後に今後の展開をお聞かせいただけますか。

当社の方針として複数の施策により、店舗における業務を効率化し、2022年6月期に収益につながる300万時間の業務創出を目指しています。RPAによる業務の効率化はこの方針に沿うものと考えており、今後も推進していきます。そのためには、RPA課全体のスキルアップ、ナレッジの蓄積と情報共有などを図りつつ、スタッフの拡充にも力を入れてRPA課の体制強化に努めていきます。引き続き、UiPath、サン・プラニング・システムズには手厚いサポートを期待しています。よろしくお願いします。

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

 

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス様 集合写真

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(右7名)
左よりITサポート本部 情報システム本部 基幹システム運用課 兼 RPA課 課責任者
山本 速都氏
佐々木 文乃氏、関本 康二氏、岡根 淳子氏、宮園 萌氏、西山 奈津子氏、松本 奈津子氏

株式会社サン・プラニング・システムズ(左2名)
左より瀬下、栗原


  • 取材日時 2021年3月
  • PPIH様のサイト(https://ppih.co.jp/
  • 記載の担当部署は、取材時の組織名です。